1.はじめに
こんにちは、かじです。今回はGitのリポジトリサービスをまとめていきたいと思います。
Gitでバージョン管理を行う上で、Gitサーバーを構築する必要があります。オンプレミス環境にGitサーバーを一つ構築するのもありだと思いますが、コンピュータを用意して自分で設定するとなると、手間とコストがかかってしまいます。
それならば、すでにあるサービスを使用したらいいということで、今回はGitリポジトリのホスティングサービスをまとめていきたいと思います。
2.Gitのリポジトリサービス
2-1.GitHub
GitHubは、世界中のエンジニアに利用されている最大手のGitホスティングサービスです。ユーザー数や容量に制限がなく、非常に使い勝手の良いサービスです。また、2020年4月からは、プライベートリポジトリも無料で無制限に利用できるようになりました。
GitHubの特徴は、ユーザー同士のコミュニケーションを円滑に行える機能が充実していることです。課題を管理できる「Issue」や、自身の変更を他者に通知できる「Pull Request」が充実しており、開発におけるフィードバックや協力がスムーズに行えます。また、SlackやAtomなど、さまざまなアプリケーションと連携できるAPIも提供しています。
GitHubの料金は、個人利用と法人利用に分かれています。個人利用の場合は、FreeプランとTeamプランがあります。Freeプランでは、ユーザー数やプライベートリポジトリの数に制限がありませんが、チームでの利用には向いていません。Teamプランでは、月額4ドルでユーザーごとに支払い、チームでの利用に適した機能が利用できます。法人利用の場合は、Enterpriseプランがあります。Enterpriseプランでは、月額21ドルでユーザーごとに支払い、法人向けのセキュリティやサポートなどの機能が利用できます。
GitHubは、信頼性や人気が高く、無料でプライベートリポジトリを利用できることから、個人や小規模なチームでの開発におすすめのサービスです。
2-2.Bitbucket
Bitbucketは、GitとMercurialに対応しているホスティングサービスです。Mercurialとは、Gitと同じく分散型のバージョン管理システムの一種です。Bitbucketは、無料で無制限にプライベートリポジトリを利用でき、プロジェクトの計画や共同でのコーディングやテストなどの機能を利用できます。無料プランでは、最大5人のユーザーまで利用できます。
Bitbucketの特徴は、他の製品との連携機能が充実していることです。Bitbucketは、プロジェクト管理ツールや情報共有ツールなどのサービスを展開するAtlassianが運営しています。Atlassianが提供するJIRAというプロジェクト管理ツールと併用することで、より詳細なプロジェクト管理が可能になります。また、CIやチャットツールとの連携もできます。
Bitbucketの料金は、Freeプラン、スタンダードプラン、プレミアムプランがあります。Freeプランでは、最大5人のユーザーと無制限のプライベートリポジトリが利用できますが、一部の機能が制限されます。スタンダードプランでは、月額4ドルでユーザーごとに支払い、無制限のユーザーとプライベートリポジトリが利用できます。プレミアムプランでは、月額6ドルでユーザーごとに支払い、スタンダードプランの機能に加えて、高度なセキュリティや管理機能が利用できます。
Bitbucketは、プライベートリポジトリを無制限で利用できることや、他のAtlassian製品との連携ができることから、中規模以上のチームや法人での開発におすすめのサービスです。
2-3.tracpath
tracpathは、Git・Mercurial・Subversionに対応しているクラウド型のバグ管理ツールです。日本のオープングルーヴ株式会社が開発元のため、日本語でのサポートが受けられるのが嬉しいポイントです。無料プランでは、1つのプロジェクト、3つのリポジトリ、最大ユーザー数5人の枠で利用が可能です。
tracpathの特徴は、バグ管理やタスク管理などの機能が充実していることです。tracpathでは、プロジェクトの進捗や品質を可視化できるダッシュボードや、バグや要望を管理できるチケットシステム、メンバーの作業時間や費用を管理できるタイムシートなどの機能が利用できます。また、GitやMercurialなどのリポジトリと連携して、コミットやブランチの履歴を確認できます。
tracpathの料金は、無料プランと有料プランがあります。無料プランでは、1つのプロジェクト、3つのリポジトリ、最大ユーザー数5人の枠で利用が可能です。有料プランでは、月額980円から利用でき、プロジェクトやリポジトリ、ユーザー数の制限がなくなります。また、有料プランでは、SSLやバックアップなどのセキュリティ機能や、メールや電話でのサポートが利用できます。
tracpathは、日本語でのサポートが受けられることや、バグ管理やタスク管理などの機能が充実していることから、日本の開発者におすすめのサービスです。
2-4.GitLab
GitLabは、GitHubをクローンしたサービスです。機能や操作などの仕様もGitHubと同様のため、使い勝手の良いサービスとなっています。また、連携サービスも充実しており、SlackやJenkinsなどが利用できるのも大きな特徴です。プライベートリポジトリの制限はありませんが、1プロジェクトの最大容量は10GBまでとなります。
GitLabの特徴は、GitLab独自のCIを無料で利用できることです。CIとは、コンティニュアス・インテグレーションの略で、ソースコードの変更を頻繁に統合し、自動的にテストやビルドを行うことです。GitLabでは、GitLab Runnerというツールを使って、CIを実行できます。これにより、外部のCIサービスを利用する必要がなくなります。
GitLabの料金は、Freeプラン、Premiumプラン、Ultimateプランがあります。Freeプランでは、最大5人のユーザーと無制限のプライベートリポジトリが利用できますが、一部の機能が制限されます。Premiumプランでは、月額19ドルでユーザーごとに支払い、無制限のユーザーとプライベートリポジトリが利用できます。Ultimateプランでは、月額99ドルでユーザーごとに支払い、Premiumプランの機能に加えて、最高レベルのセキュリティや分析機能が利用できます。
GitLabは、連携機能やCI機能が充実していることや、GitHub仕様が好みの方におすすめのサービスです。
2-5.Assembla
AssemblaはGit、SVN、Perforceといったバージョン管理ツールに対応しています。ソースコード管理のみならず、カンバン方式が使えるCardwall機能など、プロジェクト管理全般に活用できる機能を有しています。ユーザー数によって料金は変動しますので、状況によってプランを考えていきましょう。なお、7日間のトライアルも利用可能ですので、検討中の方はまずはトライアルから初めてみるのもよいでしょう。
Assemblaの特徴は、中断のないアクセスを提供できることです。Assemblaは、クラウド型とセルフホスティング型の両方のサービスを提供しています。クラウド型の場合は、インターネットに接続された環境であれば、どこからでもアクセスできます。セルフホスティング型の場合は、自社のサーバーにインストールして利用できます。これにより、セキュリティやパフォーマンスなどの面でメリットがあります。
Assemblaの料金は、STARTERプラン、ENTERPRISE CLOUDプラン、ENTERPRISE SELF-HOSTEDプランがあります。STARTERプランでは、月額12ドルでユーザーごとに支払い、最大5人のユーザーと無制限のプライベートリポジトリが利用できます。ENTERPRISE CLOUDプランでは、月額19ドルでユーザーごとに支払い、5人以上のユーザーと無制限のプライベートリポジトリが利用できます。ENTERPRISE SELF-HOSTEDプランでは、月額16ドルでユーザーごとに支払い、5人以上のユーザーと無制限のプライベートリポジトリが利用できます。また、自社のサーバーにインストールして利用できます。
Assemblaは、複数のバージョン管理ツールに対応していることや、クラウド型とセルフホスティング型の選択肢があることから、大規模なプロジェクトや法人での開発におすすめのサービスです。
2-6.Phabricator
Phabricatorは、Facebook社内で使われていたツールをオープンソース化したもので、海外を中心に利用されています。Gitのほか、MercurialやSubversionにも対応しています。Phabricatorは、インストール型のサービスで、無料で利用できます。有償でクラウドバージョンを利用することも可能で、その場合は技術サポートが含まれています。
Phabricatorの特徴は、Differentialというソースレビューに特化した機能で、コードレビュー時に利用できます。Differentialでは、コードの変更点やコメントを見やすく表示でき、レビュアーや承認者を指定できます。また、Phabricatorには、コードレビュー以外にも、バグトラッキングやイシュートラッカー、活動履歴機能やWikiなどの機能があります。
Phabricatorは、ソースレビュー機能が強力で、インストール型のサービスを好む方におすすめのサービスです。
3.クラウド会社によるGitのホスティングサービス
Gitのリポジトリのホスティングは、AWSやAzure、GCPなどのクラウド企業もサービスを提供しています。
使用する環境によってはこれらの企業が用意しているGitサービスを使用することによってデプロイの自動化などの恩恵を受けることができます。
3-1.AWS CodeCommit
AWS CodeCommitとは、AWSが提供するGitホスティングサービスです。AWS CodeCommitでは、プライベートリポジトリを無制限に作成でき、AWSの他のサービスと連携できます。例えば、AWS CodeBuildやAWS CodeDeployといったCI/CDツールや、AWS LambdaやAmazon S3といったコンピューティングやストレージサービスなどです。また、AWSのセキュリティや可用性の高さも利点です。
AWS CodeCommitの料金は、無料枠と従量課金制の2つがあります。無料枠では、月に5人のユーザーと50GBのストレージ、10,000のGitリクエストが利用できます。無料枠を超える場合は、ユーザーごとに月額1ドル、ストレージごとに月額0.06ドル、Gitリクエストごとに月額0.001ドルがかかります。
AWS CodeCommitは、AWSのサービスとの連携やセキュリティが重要な場合におすすめのサービスです。
3-2.Azure DevOps
Azure DevOpsとは、Azureが提供する開発プラットフォームです。Azure DevOpsでは、Gitホスティングサービスのほかに、プロジェクト管理やCI/CDツールなどの機能が利用できます。Azure DevOpsでは、プライベートリポジトリを無制限に作成でき、Azureの他のサービスやGitHubと連携できます。また、WindowsやLinux、Macなどの異なるプラットフォームに対応しています。
Azure DevOpsの料金は、無料枠と従量課金制の2つがあります。無料枠では、月に5人のユーザーと2GBのストレージが利用できます。無料枠を超える場合は、ユーザーごとに月額6ドル、ストレージごとに月額0.25ドルがかかります。
Azure DevOpsは、開発プラットフォームとしての機能やGitHubとの連携が重要な場合におすすめのサービスです。
3-3.Cloud Source Repositories
Cloud Source Repositoriesとは、GCPが提供するGitホスティングサービスです。Cloud Source Repositoriesでは、プライベートリポジトリを無制限に作成でき、GCPの他のサービスやGitHubやBitbucketと連携できます。例えば、Cloud BuildやCloud RunといったCI/CDツールや、Cloud FunctionsやCloud Storageといったコンピューティングやストレージサービスなどです。また、Googleの検索技術を活用したコード検索機能や、Google Cloud Consoleからのコード編集機能などのユニークな機能もあります。
Cloud Source Repositoriesの料金は、無料枠と従量課金制の2つがあります。無料枠では、月に5人のユーザーと50GBのストレージ、50,000のGitリクエストが利用できます。無料枠を超える場合は、ユーザーごとに月額1ドル、ストレージごとに月額0.026ドル、Gitリクエストごとに月額0.001ドルがかかります。
Cloud Source Repositoriesは、GCPのサービスとの連携やコード検索や編集機能が重要な場合におすすめのサービスです。
4.最後に
今回紹介した方法以外にもレンタルサーバーを借りて、Gitリポジトリを構築すると言う方法もあるようです。
詳細は下記の記事をご参照ください。
今回はここまでになります。最後まで閲覧くださり、ありがとうございました。